この調査は日本ではじめての全国的なアカデミック・ハラスメントの実態調査であり、当初の計画のとおり、平成14年度にアンケート調査を実施し、平成15年度に集計および解析をおこない、平成16年度には結果を冊子としてまとめ、NPOアカデミック・ハラスメントをなくすネットワーク(http://www.naah.jp)の協力を得て大阪(平成16年5月15日)、東京(平成16年5月29日)、札幌(平成16年6月5日)において調査結果の報告をおこなった。 当該実態調査研究においては、大学に対するアンケート調査と教員個人に対するアンケート調査の2種類の調査をおこなった。回収率は、大学に対する調査では51%(回答数114大学)、教員に対する調査では回答率38%(回答者数931人)であった。 大学に対するアンケート調査においては、ほとんどの大学が性的でないハラスメントに関しては、相談窓口もなく防止体制も整備されていないこと、25%にあたる大学において性的でないハラスメントに関する紛争が発生していることが明らかになった。 全国の大学に勤務する助教授、常勤講師、助手の教員層を対象に無作為抽出したアンケート調査では、アカデミック・ハラスメントに関する項目すべてに数%〜20%の該当者があり、全分野共通の12項目のうち8項目について、女性の方が有意に高率であった。また、回答者の4割にあたる人が、周囲にアカデミック・ハラスメントを受けていた人がいることを知っており、その総数は750人に達しており、構成層ではより下位の層が被害を受けやすく、また、分野によって発生している事象が異なることが示唆された。 さらに、このアンケート結果から、アカデミック・ハラスメント環境指標算出し、アカデミック・ハラスメントがおこりやすい環境を把握する方法を考案した。
|