2003年度は、中東諸国のなかでも、特に北アフリカ・マグリブ諸国を中心に現地調査をすすめ、これまで情報収集や聞き取り調査をおこなったチュニジア・アルジェリア・モロッコ・モーリタニアでの研究成果の一部を、『イスラーム世界』に「マグリブ諸国におけるマイクロクレジットの広がりと女性の経済活動」として投稿した。また昨年11月にアラスカで開催された北米中東学会でも、市場経済や情報のグローバル化に伴い、女性の経済活動に変化がみられることについて、チュニジアでの調査をもとに口頭報告を行った。(Proceedingについては、次頁参照)。また東京大学出版会より2004年に刊行予定である加藤博編『イスラームの性と文化』にも、「マグリ部三国におけるマイクロクレジット普及の背景とその現状-開発とジェンダーの考察にむけて」と題した論文を執筆した。また今年に入ってからは、バングラデシュ・ダッカで開催された「アジア・太平洋地域マイクロクレジットサミット」に参加し、各国のマイクロクレジット・プログラムの推進状況や実践上の問題点、評価などに関する情報・意見交換を図るとともに、グラミン銀行や世界最大のNGOであるBRACの活動について現場の視察も行い、情報収集った。これらの調査研究の成果は、年度末に個人的に調査報告書として簡易製本をしたものにまとめている。また3月末には、沙漠学会主催の「マグリブにおけるサハラ・オアシス文化」と題した公開講演で、「グローバル化のなかのチュニジア・オアシス社会-女性労働にみる変化」というタイトルで報告を行う予定である。
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