一年度と二年度のチュニジア、モロッコ、モーリタニアでのマイクロクレジット(以下MCと記す)の普及状況に関する調査を踏まえて、昨年はその調査研究の中間報告書をまとめたが、アルジェリアに関しては調査がまだ十分でなかったことから、今年度の前半はアルジェリアのCREAD(開発応用経済研究所)の客員研究員として席をおいて滞在しつっ、同国のMCプログラムの実態調査を行った。アルジェリアでは、チュニジア・モロッコと同様に、1999年にMC法が制定されているが、後者の二ヶ国でのそのプログラムのある程度の成功に比べて、アルジェリアでは政府主導で開始されたそのプログラムは、全くうまくいっておらず、関連金融機関の倒産も重なり、今年の調査時点ではそのプログラムは一時停止の状態であった。したがって、調査内容としては、なぜ失敗に繋がったのかの要因の調査を中心に行った。 また政府系のプログラムとは別に実施されているTOUIZAというNGOによるMC融資の調査も行った他、さらに、社会・人間開発のテーマとの関連で、アルジェリアのアラウィー・スーフィー教団が近年開始している開発プロジェクトにも関心をもち、イスラームと開発という新たな調査研究も開始した。 後半では、昨年10月にヨルダンのアンマンで開催された中東・アフリカ地域のMCサミットに参加し、この地域でのMCの実践状況に関する最新情報を収集した他、これまでの調査研究の成果を、国際開発学会年次大会にて口頭報告をした他、筑波大学北アフリカ研究センターでの研究会や、またスーフィー教団と開発の問題に関しては、「スーフィズム・聖者信仰・タリーカをめぐる研究会」でそれぞれ研究報告を行った。また、現在、2005年3月に筑波大学北アフリカ研究センター主催の国際シンポジウムでの報告の準備も同時に進めている。
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