【研究デザイン】最初に研究課題・目的に合致する研究成果を得るための3年間の研究計画を立てた。そこで、石黒眞里と菅野摂子を研究協力者とし、胎児診断の状況を把握するために質問紙調査および聞き取り調査の実施を調査研究の柱に据えた。 【質問紙調査の方法】平成14年度は「妊娠と出生前検査の経験に関するするアンケート調査」を実施した。調査対象者は最近10年以内に妊娠経験のある女性とし、東京都内の保育園21件において約830通と医療機関4件において約120通、計950通の配布の承諾を得て各機関に送付した。配布方法は手渡しまたは留め置き法により、回収は郵送法をとった。 【調査結果の概要】回収数は保育園配布分が323通、医療機関配布分が61の計384通(約40%)である。うち、有効回答数は360通である。1)ほとんどの妊娠経験者が超音波検査を受診しており、肯定的に受け止めていた。しかしながら、超音波検査を受診に関しては医療者からの検査目的や費用等についてほとんど伝えられておらず、妊婦はルーチン検査だと思っていた。また、日本産科婦人科学会見解において「胎児の性別を両親に告知してはならない」としているが、実際には高い頻度で妊婦の希望に応えるという形で性別が告知されていた。2)母体血清マーカー検査についてはほとんど知られておらず、通常の血液検査や羊水検査と混同した回答もいくつか見られた。しかし、受診した人々による経験や考えについての貴重な回答も得られた。3)羊水検査受診者はわずか24名だったが、その受診理由や結果についての感想などが詳しく記述されていた。 【今後の計画】質問紙調査によって貴重な資料が得られたので、平成15年度は聞き取り調査を実施し、資料の分析解釈を深める予定である。
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