研究課題/領域番号 |
14594023
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
柘植 あづみ 明治学院大学, 社会学部, 教授 (90179987)
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研究分担者 |
加藤 秀一 明治学院大学, 社会学部, 教授 (00247149)
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キーワード | 新生殖技術 / 胎児診断 / 出生前検査 / 超音波検査 / 母体血清マーカー検査 / 羊水検査 / 妊娠 / 聞き取り調査 |
研究概要 |
【研究デザイン】日本における胎児診断の状況を把握し、胎児診断に関する女性の意思決定がいかなるプロセスおよび要因から行なわれるかについての検討を行なうために、平成14年度には「妊娠と出生前検査の経験に関するアンケート調査」を実施し、平成15年3月までに回収した。平成15年度はこのアンケート調査結果の解析および公表に加えて、聞き取り調査を実施した。 【アンケート調査結果の分析と公表】 平成15年5月末までにアンケート結果の集計・分析を行い「集計結果報告」を作成した。それをアンケートに回答し、集計結果報告の送付を希望した方135名とアンケート配布協力者30名に送付した。その結果を第76回日本社会学会大会にて報告した。その後も自由記述結果も含めたアンケート結果の解析を進めている。 【聞き取り調査の方法と結果の概要】質問紙調査を配布する際に同封した「インタビュー調査ご協力のお願い」に自発的に記入し、アンケートの回答とは別の封筒にて返送いただいた約50名にインタビュー調査の詳細をお送りし、日程、場所等の都合が合った方26名に聞き取り調査にご協力いただいた。聞き取り調査の内容は録音テープに記録し、すべて文字に起してデータとした。それを現在、さらに詳細に分析している。 結果の概要としては、1)超音波検査に関しては、医師や医療者から提供される情報は少ないが、妊娠中の女性は超音波検査を受けるべき検査として認識し、また、本・雑誌、友人や自分の以前の妊娠経験から超音波検査については知識があると考えるため、医師に超音波検査について尋ねることはしない。しかしながら、超音波検査が胎児の発育状況の把握や「異常」発見の目的で実施されているのはどの医療機関でも同じであるが、検査回数、費用、「異常」が見つかった際の対応、リスクなどの説明や対応に医療機関や医師によってかなりの違いがあり、それに直面した女性たちは戸惑い、悩むことがわかった。2)母体血清マーカー検査や羊水検査では、受検した人たちのほとんどは医師・医療者から詳しい説明を受け、自分たちで意思決定をしたと述べるが、受検しなかった人たちは、医師が説明しなかったことを「自分は検査を受けなくても良い」と解釈し、検査を受けなったと説明する人々が少なくなかった。3)胎児診断という手段が生じたことにより、妊娠を経験した女性は他の身近な女性の経験を見聞きし、深く考えている。しかしながら、医師・医療者や男性がこのことをいかに考えているかについて把握することを今後の研究課題としたい。 【今後の計画】これまでのアンケートと聞き取り調査の結果を総合的に検討し、結果を公表していく。また、アメリカの検査の現状と比較し、女性たちの検査に対する姿勢や行動の社会的・文化的要因について検討する。
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