研究分担者 |
岩田 智 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (00232679)
寺本 義也 早稲田大学, 大学院・アジア太平洋研究科, 教授 (30062178)
金井 一頼 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50142831)
谷口 勇仁 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (60313970)
平本 健太 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (00238388)
|
研究概要 |
4月〜9月:(1)理論的枠組を完成させた。(2)各自1〜2組織(NPOおよび企業)を選定し,詳細な事例研究を開始した。 10月〜12月:(1)事例研究を継続した。(2)次年度に行うアンケート調査のための予備調査を開始するとともに,質問票の具体的なストラクチャーの検討を行なった。(3)国内の事例研究を一層精緻化するために,次の組織との交流を行った。すなわち,「スコープ・プロジェクト」を展開している総合研究大学院大学と全国のNPO活動支援を行っている日本NPOセンターの2つである。 1月〜3月:(1)事例研究の一層の精緻化を試みた。(2)事例研究の成果を整理した。 研究の進展によって析出された点は,以下の通りである。NPOと企業の戦略的協働(以下「戦略的協働」と略記)に該当するための条件は,(1)長期性,(2)戦略的意図,(3)対等性の3点である。(1)の長期性とは,単発の取引に終わらず,特定の関係が一定期間成立していることを指している。(2)の戦略的意図とは,両組織が自組織の競争優位を確立するという意図の下に関係が成立していることを指している。(3)の対等性とは,両組織間に主従関係が存在しないことを意味し,対人関係における同僚関係に相当する。これら戦略的協働の(1),(2),(3)の3つの条件を考えると,戦略的協働の成功には克服すべき非常に困難な問題が存在することが分かる。すなわち,不安定性という性質の下で協力関係を構築しなければならない難しさである。 戦略的協働は,概ね『補完性の獲得』という意図に集約される。その意図は,両組織が足りないものを相互に与え合うという発想にもとづいている。しかし,成功裡に継続している戦略的協働を観察すると,当初の意図がそのまま固定して推移していることは稀でしかない。戦略的協働の開始時点での『補完性の獲得』の意図を持った関係は,さらに別の意図を持った関係に発展していく可能性をもっている。 組織内における知識創造プロセスは,NPOと企業の戦略的協働のような組織間関係にも存在する。
|