研究課題/領域番号 |
14597009
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研究機関 | 東北公益文科大学 |
研究代表者 |
川口 善行 東北公益文科大学, 公益学部, 教授 (90343441)
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研究分担者 |
渡辺 暁雄 東北公益文科大学, 公益学部, 講師
伊藤 眞知子 東北公益文科大学, 公益学部, 助教授 (00280511)
高木 武夫 東北公益文科大学, 公益学部, 教授 (30337240)
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キーワード | 公益 / NPO / NGO / 指標 / 評価 / フィリピン / シビルソサエティ / 企業市民経営 |
研究概要 |
わが国においては、活き活きとした市民生活の実現の担い手としてのNPO(民間非営利組織)への期待は高まり、その重要性への認識も高まりつつある。その一方で、NPOについての学術的な研究は数多いとはいえないのが現状である。NPO活動の進展と質的向上には、組織評価および事業評価のための具体的かつ実践的な指標の策定が不可欠である。 本研究は、NPO活動の本来的な意義が「公益の増進」にあることを踏まえ、公益を軸に据えた「公益指標」の開発と、その指標の妥当性に関する検証を行うことを目的としている。 平成15年度は、昨年度に行われた「フィリピンNGO評価実態調査」の結果の取りまとめとその分析を行い、加えて国内のいくつかのNPO団体から聞き取り調査を行って、「公益指標」に関する全国規模のアンケートの作成につなげる成果を得ることができた。フィリピンはアジア諸国の中でも飛び抜けてNGOの活躍が目覚しい国といわれているが、同国の「シビルソサエティ」や「企業市民経営評価システム」の観察と分析を通して、日本に比べて政府の力が弱いという状況の中で築き上げられたNPOと政府の連携の様子と、それによる多大な成果にもかかわらず社会全体としての改善には必ずしもつながっていないことが理解できたことは、とりわけ重要な成果であった。「公益指標」は、組織・事業の運営上の公益性でなく、その結果の公益性も視野に入れるものでなければならない。今後はこれらの成果を踏まえて、日本における政府とNPOとの関係のあり方も考慮しつつ、公益指標を具体化する作業に入っていきたい。
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