本研究の予備調査として、イギリスにおける非営利・協同セクターの実態に関する現地調査を実施し、資料収集を行った。主な調査事項は以下の通りである。 1 ミュニティ・ビジネスに関する資料収集ならびに実情についての聴き取りのため、ICOM(マンチェスター)を訪問し、ヒアリングを行った。過去20年余にわたって非営利・協同セクターの発展に寄与してきたICOMがCWSの傘下に入り、新たな組織的出発をするにいたった状況について知ることができた。 2 労働党のシンクタンク、DEMOS(ロンドン)での資料収集を行った。 3 TUC(労働組合総評議会)出版部局(ロンドン)を訪問し資料の収集を図った。 4 イギリスのおける非営利・協同セクターに関する代表的な研究者の一人であるR.スピア氏(オープン・ユニバーシティ)を訪問し、イギリスの実情についてヒアリングを実施するとともに、資料収集を図った。 5 イギリスにおける代表的なソーシャル・エンタプライズ(社会的企業)であるサンダーランド・ソーシャル・エンタプライズ(SES)を訪れ、非営利・協同のコミュニティ・ビジネスの実態についてヒアリングをするとともに資料の収集を図った。SESでの調査により多くの新たな知見を得ることができた。 以上の予備調査のなかで明らかとなった事柄のうち、とくに注意を要するのは、社会的企業概念の浸透と実践の拡大である。本年度はこの社会的企業概念についての研究の深まりが成果となっている。
|