1.本研究の基本的課題であるイギリスでの非営利・協同セクターの実態について現地調査を実施するとともに資料の収集を図った。主な調査は以下の通りである。 (1)イギリスでの社会的企業に関する代表的な中間支援組織であるソーシャル・エンタプライズ・ロンドン(SEL)を訪問し、非営利協同の原則に基づき社会的目的を第一義とするコミュニティビジネスの実態についてヒアリングをするとともに資料の収集を図った。とくに1990年代初めから実質的には社会的企業と呼びうる事業体を形成しイギリス全土に影響を及ぼしているコミュニティビジネス、グリニッジ・レジャーでの聴き取り調査を行なった。 (2)社会的企業のみならず種々のコミュニテイビジネスやコミュニティ活動を展開する諸組織を支援する中間組織であるRegional Association for West Midland (RAWM)を訪問し、聴き取り調査、資料収集を行なった。これはロンドに次ぐ人口を擁するバーミンガムに本拠を置く中間支援組織であり、イギリス政府の地域再開発政策と密接に連携を保ちつつコミュニティ再建の中核となっているひとつの典型であり、調査の意義は大きいと判断している。 2.コミュニティビジネスに関する文献研究のため、イギリスをはじめとするヨーロッパ諸国の実情に関する文献の収集を図った。その結果として、本研究を通じて知ることのできた『社会的企業』を翻訳、公表することができ(共訳、日本経済評論社)、一定の社会貢献ができたと考えている。 3.本研究でのコミュニテイビジネスあるいは社会的企業に関する調査研究を通じて国際的な研究者ネットワークへのアクセスが一部可能になり、大きな成果となっている。
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