研究の目的は、非営利組織(NPO)の会計システムと業績評価を検討することだった。その成果は以下のとおりである。 1.多くのNPOは資金不足に悩んでいる。NPOが資金調達を成功裡に行いたいと望むのであれば、NPOは、当該組織を支援してくれる顧客との信頼関係を築くために、マネジメント・システムを改革しなければならない。そのためNPOは、それが直面する諸問題を解決するために、戦略経営システムを開発すべきである。戦略経営は企業経営の中から生れたアイデアであるが、利益のような即座に業績を評価する尺度を持たない、使命によって動いている組織にとっては、さらに一層有用である。 2.戦略経営システムは、有効性および効率性の観点から業績評価システムを組み込まなければならない。有効性とはアウトカムのレベル、効率性とはアウトプットのインプットに対する比率と定義される。そして、生産性は、アウトカムの達成における資源の有効かつ効率的利用であると定義される。この生産性の定義を強調することによって、経営管理者は、目標達成(すなわち有効性)と努力の効率性の両方に関心をもつことになる。 3.NPOにとってアカウンタビリティは重要な概念である。業績測定はアカウンタビリティの質の向上に有益であるから、発生主義(会計の基本的な概念の一つであり、収益と費用が獲得されるか発生した期間の財務諸表に計上されるべきとする)を非営利セクターに導入することが必要である。
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