研究概要 |
平成15年度の研究成果は以下のとおりである。 1 ストレプトアビジン2次元結晶膜へのビオチン化タンパク質の結合と固定 ビオチン-ストレプトアビジン特異結合を利用したビオチン化タンパク質1分子の固定および1分子AFMイメージングが可能であることを確認した。ただし,ストレプトアビジン2次元結晶膜への結合後に膜表面でビオチン化タンパク質が界面変性を起こす可能性も示唆された。 2 カバーガラスなどガラス基板のAFM1分子イメージングへの応用 AFMイメージングでは,表面平滑性の高いマイカやグラファイトが歴史的に用いられてきたが,光顕との同時イメージングでは,ガラス基板の使用が必須である。カバーガラスにフェリチンを吸着し,これをAFMイメージング可能であることを確認した。シリコンウエハと同程度の表面粗さであり,AFM用基板として使用可能であることが分かった。 3 倒立型光学顕微鏡上でのAFMイメージング パルスモータ制御の顕微鏡試料ステージおよび手動制御のAFMヘッド用XYステージを微分干渉倒立顕微鏡に組み込んだ。これにより,AFM探針に対して0.1μmの精度で試料位置を制御可能となり,また,倒立顕微鏡に対して必要な精度でAFMヘッドの位置合わせが可能となった。本自動ステージを用い,フェリチン2次元結晶の分子イメージングが可能であることを確認した。これにより,透明試料をガラス基板上で光学顕微鏡観察しながらAFMイメージングを同時に行うことが可能となり,タンパク質1分子解析技術において有用な手段になると考えられる。
|