リンパ球において細胞周期回転を停止させたときにアポトーシスが誘導されるが、細胞周期停止がどのようにアポトーシスを誘導するかその分子機構は不明である。そこで細胞周期回転を停止によるアポトーシス関連遺伝子の単離を目的とした。マウスBリンフォーマ細胞株WEHI-231を用いて細胞周期回転停止によるアポトーシス関連する分子を単離するための系を昨年確立した(昨年度本報告書)。この系を利用して、WEHI-231を用いて細胞胞周期停止によるアポトーシスを誘導したものや無処理のものからレトロウィルスベクターを用いたcDNAライブラリーを細胞に導入して、細胞周期停止によるアポトーシスを誘導して、アポトーシス抵抗性細胞を回収した。これらの細胞からレトロウィルスベクターによって染色体に組み込まれたDNA断片を回収し、もう一度同じベクターに導入してスクリーニングを繰り返し、複数の遺伝子断片を得た。この中の一つとしてc-Myc遺伝子断片がレトロウィルスベクターにアンチセンス方向に導入に挿入され、細胞周期停止によるアポトーシスを阻害することを昨年度確認した。c-Mycを過剰発現させた細胞では細胞周期停止によるアポトーシスが亢進することを、逆にc-Mycの機能を抑制するとアポトーシスが抑制されること示した。このことからc-Mycが細胞周期停止によるアポトーシスに深く関与していることが明らかとなった。また、この遺伝子単離系を用いてさらにスクリーニングを行ったところ、細胞周期やアポトーシスと関連していると思われる遺伝子断片が複数得られた。それらの機能については現在解析中である。
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