Cytotoxic T lymphocyte associated antigen-4(CTLA-4)は、T細胞の活性化に伴って一過性に発現し活性化に対する負のシグナルを伝達するホメオスターシス調節分子であるが、その誘導機構は明らかになっていない。ヒトおよびマウスにおいて、CTLA-4遺伝子の発現低下はさまざまな自己免疫疾患を発症するという事実はT細胞のホメオスターシス維持におけるCTLA-4の重要性を示している。研究代表者は、平成14年度においてCTLA-4欠損マウス、IL-2/IL-2R欠損マウス両者ともにT細胞の異常増殖が認められ生後数週齢前後までに死亡することに着目し、CTLA4の発現誘導におけるIL-2の役割およびCTLA-4のホメオスターシス増殖機構における分子基盤を明らかにする事を目的として検討した。その結果、野生型マウス、IL-2/IL-2R欠損マウス、MHCクラスI拘束性TCRのみを発現するマウス(P14TCR)、P14TCR IL-2/IL-2R欠損マウス、MHCクラスII拘束性TCRを発現するマウス(Cyt5.cc7TCR)、Cyt5.cc7TCR IL-2/IL-2R欠損マウスなどの解析から、「IL-2はCTLA-4の発現に必須のサイトカインである」という重要な知見を得た。またIL-2はCTLA-4分子の細胞内局在を調節しているのではなく遺伝子発現を誘導していることを見い出した。さらに平成15年度には、ヒトT細胞でもCTLA-4の発現誘導にIL-2が必要であることを明らかにした。またin vivoにおいても樹状細胞の生産するIL-2がCTLA-4の誘導を介したT細胞のホメオスターシス制御に重要であることを示唆する結果を得ており、今後検討していく予定である。
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