研究課題/領域番号 |
14603002
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
辻 正次 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (90029918)
|
研究分担者 |
松繁 寿和 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 助教授 (50219424)
野村 美明 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (20144420)
黒澤 満 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (10111709)
林 敏彦 放送大学, 大学院・文化科学研究科, 教授 (50047487)
今川 拓郎 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 助教授 (20324840)
|
キーワード | 公共政策 / 政策評価 / 多様性 / 政策工学 / ガバナンス / 参画 / エンパワーメント / 動的政策形成モデル |
研究概要 |
本研究での成果を要約すると、ポストデジタル社会での公共政策について、以下の視点が必要である。 (1)政策対象者(ユーザー)のための公共政策 多様な組織が国境を越えて相互に影響を与えあうグローバルな社会において、第1に国家中心の公共概念(ガバメント)ではなく、公共性の基準を公共政策の最終的ユーザーたる市民に求める視点が必要である。 (2)動かすための仕組みと人 政策を立案し、実施するための制度的枠組みを「ガバナンス」として体系的にとらえ、これを評価する方法と一体化させる必要がある。この新しい方法論を採用することによって、従来の分野ごとの研究を真の公共政策研究にまで高めることができる。新しい公共政策は、国際機関から地方自治体まで、人を動かし社会を動かすための総合的で実践的な研究教育がその根底に必要である。 (3)包括的で一貫した公共政策過程モデルの構築 国際機関からNPOまでの政策主体の多様性という現実を踏まえた複眼的視点と、政策形成により多様な主体の参加を確保する行為誘導的視点を備えつつ、公共政策の形成・実施・評価の過程をよりシステマティックに把握する必要性がある。 (4)多様なシステムの共存 米国などでは、組織ガバナンス・ルールについて単一の「ベスト・プラクティス」の存在を前提にした議論が目立つ。これに対して、アジア太平洋の視点から多様なシステムの建設的で協調的な併存を前提にした公共政策のあり方を模索する必要がある。 (5)定量的な政策評価 公共政策の妥当性を評価するために、工学的な政策評価手法と伝統的なそれとを融合した新たな政策評価の方法の確立が求められる。これは、「政策工学」と名付けることができる。このアプローチは、従来の方法論の動態的な統合をめざすものであり、また公共政策の数量的・客観的評価によって、政策立案および組織や社会のあるべきガバナンスにフィードバックをはかるものである。
|