本研究は一年間の基盤研究であったので、国際読書力テスト開発のための指標づくりに焦点をしぼり、具体的には以下の活動を行った。 (1)諸外国の読書力テストを調査・分析して、テストの内容項目を明らかにした。 読書力診断のためのテストや調査方法にはどのようなものがあるのか、日本に大きな影響を与えているイギリス・アメリカの資料を収集した。内容項目を分類・分析したことによって、国際的な読書力とは何をさすのか、読書の評価とはどうあるべきか、共通項とその国の独自性とを整理した。 また、毎日新聞の読書世論調査のように、読書力そのものではなく、読書環境等を扱った調査がないかどうかを調べ、イギリスの出版状況・読書環境についての資料を入手した。 (2)日本での読書力テストを調査・分析して、テストの内容項目を明らかにした。 2000年度に行われたPISA調査の日本の結果を分析し、さらに、日本での読書力テストを収集し、テストの内容項目を明らかにした。上記(1)との比較を通して、日本における読書力テストの傾向を考察した。 (3)読書力を示す指標を明らかにした。 (1)と(2)を通して読書力の評価項目を整理し、読書力を示す指標の「試案」を作成した。 (4)読書力を示す指標についての研究会を開催した。 (1)から(3)の成果について、研究会を開催し、専門家や一般からの意見を聴取して、読書力の指標についての判断を仰いだ。特に、国語教育研究者のほかに、諸外国の読書教育事情に詳しい民間人も起用し、詳しい検討を行った。
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