本年度は、研究目的に沿って、過去に行われた比較可能な俗信・民間信仰に関する調査と調査結果の収集を行った。こうした点では民俗学の研究成果よりも、昭和21年から3次にわたって実施された迷信調査委員会「国民慣習(迷信・俗信)調査」が重要である。昭和二一年の第一次調査と昭和二四年の第二次調査は、日の吉凶に関する俗信など、もっぱら個別の迷信の事例を全国各地より集めている。他方、昭和二五年に実施された第三次調査は、「十二支で人の性質がわかると思うか」「死んでも魂はあると思うか」など一五の設問からなる質問表を全国に配布し、「IBM(電気抽出機)」によって集計整理したものである。調査の母集団が六千を超える大規模な調査である。具体的には、三次にわたる信仰査委員会「国民慣習(迷信・俗信)調査」に関しては、調査項目別にカードを作成した上で、他の調査と比較可能な形態として資料収集・整理を終了した。 俗信・民間信仰に関する資料を総理府編『世論調査年鑑』から抽出した。昭和20年代から刊行されている『世論調査年鑑』には、とくだんに俗信や民間信仰、あるいは宗教をテーマにした調査以外にも、多くの資料となる項目が含まれている。個別の調査項目ごとにカード化を行い、データベース化した。 本年度の調査できわめて興味深かったのは、血液型、占いをはじめとした神秘的現象に対して、科学的客観的な判断を行おうとする研究グループの成果の入手である。宗教研究と異なってはいるが、結果的には現代日本において、どのような種類の俗信・民間信仰がどのような意味で存続しているかに関する調査を実施しており、この成果の収集はきわめて意味あるものであったということができる。
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