1.近代以前、東アジアにおいて文学・絵画などと有機的な連関をもって根づいてきた書という文化は、明治以降、その認識にどのような変化が生じたか。現在の書の「作品」は、視覚性を大きな柱として鑑賞活動が行われている。美術館制度の整備・確立、それに伴う鑑賞普及活動、学校教育における書写・書道の位置づけ等、制度と書の「作品」概念形成との関係を考察するため、本年度は、主として書画を多数扱う美術館・研究機関へ出向き、以下の資料収集および調査を行った。 (1)調査対象 出光美術館・畠山記念館・根津美術館・徳川美術館・東京国立博物館・国立歴史民族博物館・五島美術館・書道博物館・澄懐堂美術館・大東文化大学書道研究所・東京学芸大学・書晨研究部 (2)館設立の沿革 (3)美術館・施設における書画展覧の実態・調査 企画内容・期間、企画にあたっての構想・計画(学芸員に協力を得る)、鑑賞者の意識、広報活動の範囲等 2. 1の実態をもとに、研究基礎資料を整える一方で、研究者間で用いられている術語の検討を進めるための方法に関して、以下の口頭発表を行った。 ・「漢字文化の内と外-日本の書芸観から-」第二回アジア芸術学会(於.釜山市庁国際会議室2002.9.16.)
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