研究概要 |
平成16年度は、研究目的1のPervin, L. A.(1996)のパーソナリティの多次元的定義(パーソナリティは認知、情動、人間の生活に方向性と一貫性を与える行動の複合したメカニズムであり、身体と同じように、パーソナリティは構造と過程からなり、遺伝と経験を反映し、さらにパーソナリティは現在と将来に加えて、記憶を含めた過去の影響を受けている)を仮の枠組みとして、パーソナリティ諸理論を整理体系化する枠組みを検討する、と関連して、3次元8値(ファセットA時間次元;過去・現在・未来、B人間性の3側面;認知・感情・行動、C形成要因;氏・育ち)よりなるマッピング・センテンスを作成して、パーソナリティという視点から見た、人間性モデルの構造ないし仕組みをファセット理論・ファセット分析により検討した(木村通治・真鍋一史・安永幸子・横田賀英子著2002『ファセット理論と解析事例』ナカニシヤ出版)。質問は、同一ファセットに3項目作り、合計54項目から成る。項目は例えば、「将来の自分が抱く感情は、育ちや環境の影響が強いと思う」のように、1つの質問項目の中に、3次元全ての値が入っていることが特徴である。 その結果、同一ファセットに1項目のみの18項目の分析において、(1)先ず、ファセットC形成要因のC1氏とC2育ちのどちらを重視するかで、大きく、明確に二分された。その上で、(2)C2育ち要因重視は、A時間次元のA1過去重視と、A2現在あるいはA3未来重視群に二分される。(3)C1氏要因重視は、先ず、B3行動重視群がまとまり、次に、B1認知とB2感情は混合しており、A1過去重視かあるいはA2現在とA3未来の時間軸で分かれるようである。 以上の結果は、日常的なパーソナリティのしろうと理論と合致しており、第1に、パーソナリティの形成要因の氏(遺伝)か育ち(環境)かいずれを重視するかで大きく二分されている。第2に、時間次元については、過去重視日、現在・未来志向かで同様に二分される。第3に、人間性の3側面に関しては、行動重視が1つにまとまり、感情・認知は相互に絡み合っていることが明らかになった。今後、(1)性格検査諸尺度との関連性の分析、(2)マッピング・センテンスの再考など、更なる検討が必要である。 データベースから検索した事例研究43論文(meta-analysis & case study)の分析結果も含めて、研究成果報告書を準備中である。
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