研究概要 |
長時間保育サービスの質評価指標を開発するため、長時間保育を含むさまざまなの要因の子どもの発達への影響について、5年後の子どもの発達に対する保育時間、育児環境、属性等の関連に焦点をあてて明らかにした。全国87保育園にて保護者と周児の担当保育専門職を対象に質問紙調査および確認のための訪問面接調査を実施した。子どもと保護者の両者から追跡データの得られた1歳児91名を有効回答とした。子どもの発達は運動発達(粗大運動、微細運動)、社会性発達(生活技術、対人技術),言語発達(コミュニケーション、理解)について、担当保育士が評価票を用いて評価した。分析の結果、1)5年後の子どもの発達、社会適応に対する関連要因として、「育児相談者の有無」が有意であり、育児相談者がいない場合に<生活技術>、<社会適応>のリスクが高くなっていた、2)5年後の子どもの発達、社会適応に関連する複合要因としては「性別」、「入園年齢」が有意であり、男児は女児より<コミュニケーション>発達がゆっくり傾向であり、また入園年齢が1歳未満の子どもの方が1歳以上の子どもより保育園に適応しやすい傾向がみられた。3)5年後の子どもの発達への有意な関連要因として、「保育時間」はいずれの分析でも有意とならないことが示された。これらより、子どもの発達保障として、家庭環境を含め子どもに対するかかわりの質向上への働きかけや、保穫者へのサポートの重要性が示唆された。
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