1.本年度は、来年度におけるSPSSをもちいた統計学的な分析に備えて、数値データの蓄積に大きな力を割いた。 2.具体的には、『延喜式』と正倉院文書からの数値データの入力(継続)である。前者には、租税関係の国別データが多くあるので、それらを入力した。また後者には、「上日帳」の大量のデータがあるので、その入力を行なった。その場合、写真版で教値を確認した上で入力したことはいうまでもない。 3.パソコン統計学の専門家に入力済みのデータを示して、どのような統計学的な手法が適用できるのか、そのデータから何が引き出せるのか、などの点について専門的知識の供与を受けた。 4.その過程で、とくに『延喜式』に含まれている数値データは、国別、郡別などの一定地域ごとのデータである場合がほとんどであるので、SPSSによる統計学的分析に加えて、GIS(Geographic Information System)を用いた分析を行い、両者を組み合わせることにより、分析が深まることがわかってきた。このため、GISソフトを購入し、分析に備えた。 5.『延喜式』からの入力データの一部を使用して、2003年11月30日に、出土銭貨研究会のシンポジウム「銭貨と呪力」において、「延喜式に見える銭貨」と題して報告を行なった。これは、2004年度刊行予定の『出土銭貨』20号に掲載されることが決まっている。
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