本年度は研究期間の最終年度にあたるため、研究成果のとりまとめと研究成果報告書の完成に重点を置いた。以下にその概要を記す。 年数回の研究打ち合わせ会を開催し、研究発表をとおして情報交換をおこなった。また、国立国会図書館等での文献調査もおこなっている。 そうした研究活動を通して、今後の名詞句研究の発展につながるいくつかの発見があった。たとえば、名詞の<数>概念については、多様な複数性表示に使い分けが見られる。また、助動詞「む」による非現実表示のある名詞句のありかたを通して、無標の名詞句の統語的なふるまいが明らかになった。こうした成果は、新規性のみならず、今後、名詞句を記述分析していく上で、有効な礎となりうるであろう。 さて、本研究では、いくつかの研究成果を得ているが、それを論文の形でまとめあげた。それが以下の3編である。 (1)「助動詞「む」の連体用法について」 (2)名詞の<数>概念をめぐって (3)「人々」「人ども」「人たち」の文法的性質 また、以上の論文で用いた基本データを用例集として整理した。 3年間の研究成果をまとめた研究成果報告書は、A4版100頁のものであるが、これを全国の当該分野の研究者に配布して批判、叱正を受け、さらに研究の質を向上させていく予定である。
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