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2002 年度 実績報告書

言語計算システムの最適性条件と認知システムと脳科学

研究課題

研究課題/領域番号 14651081
研究機関東北大学

研究代表者

中村 捷  東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20004088)

キーワード派生不可能 / 言語計算 / 脳 / 知覚システム / ミニマリスト・プログラム
研究概要

生成文法のミニマリスト・プログラム(MP)は、これまでのGB理論とはまったくオリエンテーションの異なる理論であり、言語能力を言語計算体系とみなし、言語計算は常に正しく行われなければならず、言語計算が誤ることはないという主張を内包している。この考え方によると、不適格な文は、文法によって派生可能であるが他の条件によって排除されるというのではなく、そのような不適格文は言語計算システムではそもそも派生不可能(underivable)でなければならない。このような観点から、現在のMPを見ると、不必要な派生が、主語繰り上げ構文やwh移動(wh-島現象)の説明に見られる。このような非経済性を排除するためには「派生は適格文を生成するようにのみ展開する」という命題を遵守する必要があり、そのためには「非適格な要素は、派生においてできるだけ早く処理せよ」という早期適用の原理が必要である。この原理は、派生の途中で、未処理の項目を長く記憶に留めておくことは、記憶に大きな負担を強いるものであり、早期処理が記憶の負担を軽くすることを意味している。この点で、脳の働きが直接関わってくる。このように、言語計算システムに早期適用の原理が必要であることを論証した。
もう一つの課題は規則の適用条件に関わるものである。従来規則の適用条件をみなされていた様々の条件は、言語計算体系システム外の現象としなければならない。というのは、非文が規則の適用条件あるいはフィルターによって排除されるとすると、そのような文法は、非文を生成しその後にそれらの非文を排除するとう極めて非経済的なメカニズムであることになる。一例をあげると、主語からの抜き出しを禁ずる主語条件は、従来の説明と異なり、主語が屈折要素と一致関係を樹立する点にあると考えられる。このことはバスク語やトルコ語などで目的語と動詞が一致現象を示すと目的語からの抜き出しが阻止されることからも支持される。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Masaru Nakamura: "Optimality of the Computational Component"Proceedings of LP 2002, Charles University Press. 近刊.

  • [文献書誌] 中村捷: "文法の枠組み"『英語の主要構文』(研究社). 1-10 (2002)

  • [文献書誌] 中村捷: "英語の主要構文"研究社. 268 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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