研究二年度にあたる本年は、昨年同様にメタ言語能力の実験基盤となる言語理論と言語獲得研究に関する各種研究会に参加して資料収集を行った。さらに、メタ言語能力、科学形成能力に関する多くの先行研究を発表しているWayne O'Neil教授(MIT)、Maya Honda教授(Wheelock College)が来日の際に、本研究に関して意見の交換を行うと共に文献収集を行った。さらに、両教授と共同で、この分野のシンポジウムを行う方向で準備に入った。また、今年度は、昨年度の予備実験結果に基づき、高等学校三校で科学形成能力に関する実験を含めた講義を行った。さらに、本実験で使用する日本語の二重目的語構文に関する特質を解明するために、幼稚園で母語獲得の実験を共同で行い、"The Syntax of Ditransitives : A View from Acquisition"を第五回東京言語心理学会で発表した。以上に加えて本年度は、メタ言語能力の活性化を調べるために、脳科学の研究会に定期的に参加して、機能的磁気共鳴映像法(fMRI)、事象関連電位(ERP)の測定法を学んだ。このfMRIを用いて、日本人母語話者の「かき混ぜ構文」の言語処理を測定して、その結果をHuman Brain Mapping Conference (2004年6月)で発表予定である。次年度は、このfMRIを用いて日本人英語学習者の脳活動を探る実験を予定している。また、第二言語獲得と脳科学の接点に関するシンポジウムを日本英語学会で行う予定である。
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