研究概要 |
研究最終年度にあたる本年度は、メタ言語能力の実験基盤となる言語理論と言語獲得研究に関する各種研究会に参加して資料収集を行うと同時に、高校と大学でメタ言語能力の実験を行った。さらに、メタ言語能力と脳機能の関連を調べるために、脳科学の研究会に定期的に参加して、機能的磁気共鳴映像法(fMRI)、事象関連電位の測定法を学んだ。また、脳科学の最新知識を得るために、海外からMatt Davis氏(MRC Cognition and Brain Sciences Unit, Cambridge, UK)を共同で招聘し、セミナーを開催した。脳科学では、fMRIを用いて日本人母語話者の「かき混ぜ構文」の言語処理を測定して、その結果を10th Annual Meeting of the Organization for Human Brain Mappingで発表した。また、第ニ言語としての英語の言語経験が、日本人英語学習者の脳の機能変化にどのような影響を与えるのかを探るべく、日本でイマージョン教育を受けているバイリンガル児と、一卵性双生児を被験者としてfMRI測定を行い、研究成果の一部を現在投稿中である(東京大学との共同研究)。また、生成文法と脳科学の連携0)ために、第22回日本英語学会シンポジウム『第二言語獲得の脳科学の接点』を企画し、「第ニ言語獲得研究の展開」と題して本研究の一部を紹介した。また、第5回東京言語心理学会で発表した原稿をまとめると同時に、第ニ言語獲得、脳科学、生成文法に関連する論文を執筆した。さらに、本研究の研究成果を取り込んだ第二言語獲得の本を、執筆中である。来年以降は、過去三年間の研究成果に基づき、メタ言語能力の発達を調査するために、脳科学研究者との本格的な共同研究を開始する予定である。
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