ドイツ映画がグローバル化していく過程で、アメリカの映画会社パラマウント(Paramount)とドイツ最大の映画会社(Ufa)とアメリカの映画会社メトロ・ゴールドウイン・メイヤー(Metro)が共同で1926年1月に設立した「ウーファ映画販売会社」(Parufamet)の果たした役割は大きい。 本年度の研究は、パルファメト協定後にドイツとアメリカで大きく異なる作品を作り続けたエルンスト・ルビッチュ、フリッツ・ラング、フリードリヒ・W・ムルナウ、ゲオルク・W・パプストなどの作品分析を通して、映画メディアのグローバル化とそれまでのドイツ国民映画がどのように展開したかを解明することに主眼を置いた。 その目的を達成するために、平成14年8月中旬まで基礎文献を整理・分析することに力を注ぎ、8月20日から9月2日までドイツ連邦共和国にあるドイツ国立映画博物館(フランクフルト)、とポツダム映画博物館(ベルリン)において学芸員の人たちの助言を受けながら、資料の調査・収集を行った。当時のドイツとアメリカの貴重な資料を複写できたことは収穫であった。上記の監督たちに関する資料だけでなく、ハリウッドに渡って活躍したグレタ・ガルボやマルレーネ・ディートリヒに関する資料もいくつか収集し、その分析を2月下旬まで行った。 さらに、2月28日から3月2日まで東京国立美術館フィルムセンターを訪問し、そこで開催されているイベント「映画遺産」のなかでドイツ表現主義の影響を受けた衣笠貞之介の「狂った一頁」や「十字路」を鑑賞し、当時の日本映画へのワイマール映画の影響を調査した。 そうした成果として平成15年3月に「ワイマール映画のなかの女性たち」[「女と男の共同論」(成文堂)所収]を論文として発表した。
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