1.(1)データベース検索編集装置を用いて、新聞記事データベースから数量詞による名詞句の限定事例と前後の文脈情報を併せて収集したものを一次資料とするデータベース化に着手した。 (2)収集されたデータに基づいて、今年度は、裸数量詞による普通名詞の限定に焦点を絞って解析した。特に、日本語ではその使用が限定されている「裸数詞+(普通)名詞」の形態をもつ可算名詞構造に着目し、これが認可される場合の裸数詞と共起可能な名詞句のタイプと文脈について分析を行った。(データベース検索編集システム、新聞全文記事データベースCD-ROM、研究補助費) 2.(1)その結果、可算名詞構造が認可される名詞句は、以下の特性をもつ一般量化詞として扱えることが明らかになった。(言語学関係文献) -裸数詞が名詞句と述語の共通部分の量に一致する対称解釈をもつ。 -名詞句は不定名詞と特定の支持対象をもつものとに区別される。 -前者の場合、名詞句が裸数詞による最小の限定領域(witness set)を設定する。 -後者の場合、discourse referentsを導入し、ユニークなwitness setを設定する 3.この結果を研究会等で発表し、討議した。(調査・研究旅費) 4.これと平行して、数量詞浮遊についても考察した結果、最小のwitness setの設定の可否が浮遊についても重要な要因であることが確認された。 5.この結果を踏まえて、英語の量化現象との対照に着手した。一般量化詞理論に基づいて解析することにより、目英語の間に相似性が次第に明らかになりつつある。
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