(1)前年同様、国内での資料収集・分析作業を継続するとともに、台湾大学法律学院、政治大学法学院、同国際関係センター、東呉大学法学院、行政院公平交易委員会などに赴き、ヒアリング、ワークショップなどをとおして台湾の民主化と法変動に関して情報を収集し、あわせて意見交換を行った。とくに台湾大学では林文雄教授、王泰升教授、顔厥安教授などと制定法と行ける法の間に存在するギャップをいかに考えるかについて日本と比較しながら、議論を行った。これまでの台湾の法学では実定法の解釈論に終始し、法を社会の中に還元して考察するという視点を欠いてきたことが分かった。公平交易委員会では黄宗楽主任委員ほか、各委員と日台の競争法、市場統合にともなう法の対応をめぐってワークショップを開催した。また、政治大学では林秀雄教授、陳恵馨教授、陳洸岳教授から民法財産法、家族法改正のポイントと意義について聞き取りした。 (2)台湾で戦後、実務家向けに発行されてきた台湾を代表する法律雑誌である「法令月刊」のバックナンバーを1号から網羅的に調査し、民主化と法の変容について相互関係について検討し始めた。この作業は来年度まで継続し、意義ある知見を引き出し、論文としてまとめる予定である。 (3)これまでの中間的な成果について2004年2月19日、政治大学企業管理中心において開かれたワークショップ(名古屋大学国際法政協力教育研究センター主催)で報告した。ここでは民主化後の台湾法が中国法に与えた影響について特徴的な現象を分析し、台湾の研究者と意見を交換した。
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