研究概要 |
今年度から法制審議会において法例改正作業が開始し,その準備作業のために設置された法例研究会の座長を引き受け,本研究課題との関係では,国際金融取引の円滑化のためにあるべき準拠法選択規則について立法論的研究を行った。具体的には,契約の準拠法選択の合意の有効性は当事者によって選択された法によることの可否,契約履行の態様について履行地方によるとの規定を置くことの可否,契約準拠法の事後的変更をした場合の第三者保護のあり方,非国家法を準拠法として指定することの可否,準拠法指定が明示的になされないときの準拠法決定の仕方(特徴的給付の理論に基づく個別規定を置くことの可否),消費者契約の準拠法のあり方,絶対的強行法規の適用に関する規定を置くことの可否,方式の準拠法のあり方(特にインターネット取引の場合の規定のあり方),債権譲渡・相殺・債権質・債権者代位・債権者取消権などの準拠法のあり方,などについて検討を行い,公表した。 また,ハーグ国際私法会議での国際裁判管轄・外国判決の承認執行に関する条約案作成プロジェクトに日本政府代表として参加し,本研究課題との関係では,合意管轄条約に対象を限定した場合に,国際金融取引でしばしば規定される片面的な専属管轄合意への条約の適用のあり方等について研究を行い,その作業部会草案の紹介と問題点の指摘をした論文を公表した。
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