朝鮮半島を巡る情勢は、急速に変化しつつある。本計画の申請時には予測がつかなかった事態が出現した。今後どのように事態が進むか予測は困難であるが、朝鮮半島の統一が将来成立するであろうという前提のもとに、その際に日本がどのような政策をとって望むべきかとう観点から調査に着手した。 本年度は、既に提出した研究計画を一部変更して、最も基本的な問題である日韓両国民の相互に対する感情、評価の変化を辿る作業を開始した。隣国同士である以上、相互に確執は存在してきたであろうが、両国の関係はそれだけではなかったはずである。実際に両国民はどのような感情を持ってきたのかという観点からの見直しの調査を行っている。 その中心となるのは、日本の首相の韓国訪問が韓国の世論ではどのように受け取られていたのか、新聞の論調はどうであったのか、ということの調査を始めた。これをポーランドとドイツの関係と比較する。ポーランドへは、1969年に当時の西ドイツの首相が訪問した。この訪問によって両国は国境の確定を行った。両国にとって極めて重要であったこの訪問をポーランドは必ずしも歓迎したとは言えないところがある。その背後には政治的な思惑、ポーランド統一労働者党内部での派閥の対立があるとみられる。この例を日韓関係と比較しながら、さらに詳しく分析を行っている。 上記以外に本年度に行ったことは、韓国の共同研究者を中心として、韓国の研究者と日本側のポーランド史研究者が会し、京都において第一回のシンポジウムを開催したことである。来年度は第二回目をソウルにおいて開く予定である。
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