本研究は、分散化した多国間の社会経済情報資源をネットワークシステムにより有機的に結合し、効率的に世界経済モデルを構築して、分析・活用するためのシステムの規格化、標準化設計を行うことを目的としている。情報技術を応用して、データ発生・処理、社会経済モデル構築及びこれらを有機的に結合するための方法論及び計算システムのあり方を提示することを意図していた。 本年度は、分散処理を前提とした世界経済モデルの規格化を、大規模動学多地域経済システムモデルの枠組の中で行った。家計部門、生産部門、及び輸送部門の経済行動モデルの記述から、動学多地域の分権システムを構築し、並列分散による計算アルゴリズムを設計した。集権経済システムの定式化を行い、分権システムとの比較をしながら、集中型計算システムとの関係を明確化した。インターネット上での稼動を前提とする並列分散計算システムの基本設計を行い、分散システムの計算性能評価をプロトタイプシステムにより実施した。環日本海地域を対象として、動学的な多国間経済システムを有機的に結合するモデルの設計を行ない、実証的な数値計算シミュレーションを実施した。世界モデル化に向けて、社会経済システムと自然システムをリンクする総合評価モデル設計のノウハウと単一計算システムによるシミュレーション研究を蓄積している。日本地域学会、国際地域学会等で、研究成果の一部を報告した。研究成果の総括と今後の課題を研究成果報告書としてまとめた。
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