研究代表者および分担者は、"When openness to experience and conscientiousness affect continuous learning : A mediational model"と題する論文を完成させ、2003年度の米国心理学会(The 15th American Psychological Society)で発表いたしました。その内容を要約すると、(a)Big-5性格特性のうち、解放性(openness to experience)と誠実性(conscientiousness)の2特性は、仕事に対する内発的動機付けを喚起する傾向がある、(b)内発的動機付けは職務遂行要件となる知識・スキル・能力を向上させるための自発的継続学習行動に繋がり得る、という2点があげられる。内発的動機付けを喚起し得る要因として主に個人外の職務特性に目が向けられてきた既存のフレーム・ワークに対し、性格特性という個人内の要因も内発的動機付けを喚起し得るという点は新しい知見である。また、上記の性格特性は、直接的に継続的学習行動に影響するのではないという知見も付随的に得られた。具体的には、新しい経験に対して開かれた心を持ち、かつ仕事に対して誠実に取り組む姿勢さえあれば自発的に学習するというのではなく、解放性と誠実性といったこれらの性格特性が内発的動機付けを喚起しなければ、継続的学習行動は生起しないということである。そのためには、これらの性格特性の度合いが高い人の職務を充実化させていくこと必要となろう。 学会発表では、多くの研究者から貴重なコメントを多くいただいた。現在は、それをもとにして学術雑誌用に論文を推敲しております。あと2ケ月1ほどで完成する見込みであり、米国のJournal of Personnel Psychology またはJournal of Applied Psychologyに投稿することを予定しています。
|