研究課題
当該プロジェクトの最終年度で、大学発ナノ・メディソン・ベンチャーの創業とベンチャーキャピタルを中心とするプライベート・イクィティの役割とに関する現状での研究成果のまとめを行なった。先ず、バイオ技術とナノ技術との融合の直接的な成果の代表例としては、日本ではDNAチップ、プロテインチップ、ラボチップなどが、スウェーデンではCDに微細加工し光学的に読み取り、チップと同様に診断等に使われる装置がそれぞれ開発されている。大学発ベンチャーの中で当該領域でも例えば(株)DNAチップ研究所は、2004年にIPOを達成し、日本の研究支援型バイオベンチャーの層の厚さを示した。ものづくり技術と生命科学との融合する事業領域にて、大学の研究成果、ベンチャーキャピタルによる支援、製薬大企業との提携によって、アイデアの事業化を図るプロセスは国内においても着実に構築されつつあるように思われる。但し、シンガポールがEDB、A-Starなどの政府機関主導でアジアのバイオ産業ハブを目指してBiopolisを構築し、主に研究支援型バイオベンチャーの育成施策を、NovartisやSGKなどの欧州製薬大企業との提携で行ないつつある時、コスト競争力では劣位の日本における高付加価値且つ独自のバイオベンチャー育成の仕組みを模索する必要性を強く感じる。そのような課題に対する解決法の1つとして、創薬型の大学発ベンチャーの創業・IPO等を支援する仕組みを、大学、産総研などのインキュベーター、ベンチャーキャピタル、提携先としての製薬大企業、分業型提携先としての支援型バイオベンチャーをパートナー候補として構築する必要がある。それには、国内・シンガポールのナノメディソン・創薬型のバイオベンチャー、インキュベーター、ベンチャーキャピタル、大学研究者、TLOなどの聞取り調査なども踏まえ、プライベート・イクィティにおける評価・管理手法の観点からも、創薬型バイオベンチャーの創業初期のデスバレーを克服するビジネスモデル、知財の評価、R&Dプロジェクトでのリスクヘッジの仕組みを整備することが将来、一層に重要になると思われる。故に、今後、これらの領域におけるMOT(技術的経営)手法の研究を進めたいと考えている。期間中の研究成果は、ポルトガルのR&D Management Conference、日本経営学会・日本中小企業学会・研究技術計画学会などで報告した。また、当該年度に、インドIIT, Delhiの博士論文審査と、International Journal of Biotechnology及び日本経営学会誌のレフリーを経験した。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
研究・技術計画学会第19回年次学術大会講演要旨集(東京工業大学)
ページ: 618-621
日本中小企業学会第24回全国大会報告要旨(関東学院大学)
ページ: 9
日本経営学会第78回大会報告要旨集(早稲田大学)
ページ: 72-80
Proceedings of 2004 Academy of International Business (AIB) Southeast Asia Regional Conference, Macau, China (CD-ROM)
Proceedings of the R&D Management Conference 2004, Sesimbra, Portugal (CD-ROM)
第48回OA学会全国大会予稿集(駿河台大学)
ページ: 205-208