2002年度は、ドイツにおける新産業を産み出す仕組みの調査に重点を置いた。調査の主な概要は次の通りである。 ▽フラウンホーファー協会=1949年に設立された産業界に近い応用研究を行なう機関で、世界に49ヵ所の研究所を持っている.ミュンヘンには、研究所の研究員を独立(スピンオフ)させるための組織「ベンチャーグループ」がある。この部署は、1999年に創立されており、担当者は、7名、分野別では、法律関係者と経理担当が各3名、補助事務員1名の内訳である。独立を希望する研究員に対しては、ビジネスプラン作成の指導や新会社への資本参加もする。これまで45のプロジェクトを立ち上げ、倒産は5(倒産率5%)の実績である。 ▽バイエルン州政府=州政府は、バイオテクノロジー(生命工学)の振興に力を入れており、ミュンヘン市内にIZB(バイオテクノロジー・イノベーション起業支援センター)を設立している。これは、ベンチャー企業を育てるインキュベータ施設でインキュベータマネージャーも常駐していた.設立してから6年経過するが、現在、25社が入居、5社が卒業し、倒産は2社であった。 ▽連邦教育研究省=EXIST(大学からの起業)と呼ばれる"大学発ベンチャー"の創出計画に力を入れている。1998年には、5つの大学を、2002年には10の大学を公募した中から選んで支援している。支援策は、(1)育成型コンテストの実施、(2)選定地域への継続的な支援で、98年の選定組からは、450の企業が創出されて平均雇用6の実績がある(2002年6月現在)。
|