研究課題
本年は基礎理論の構築を目指して、研究を開始した。浪川(研究代表者)は特にKumarによってすでに着手されている研究を理解すると共に、我々の枠組みでの再構築を試みているが、我々の場合にはもう一段無限の度合いが大きいので、幾つかの技術的な問題があって成功していない。局所環の側では射影極限が現れるので、この場合の環論的性質の伝播が微妙な問題になる。代表者は、この点を中心に国内あるいは国外の研究者と議論を行った。このために国内は東京大学の宮岡洋一氏・学習院大学の飯高茂氏を中心に意見を交換した。土屋は、ドルガチェフ曲面の場合に土屋・上野・山田理論を拡張することを試みているが、まだ成功していない。これはK3曲面の場合への拡張を持っているはずで、浪川との予備的な議論を始めている。そこで関連する研究を行っている韓国のKeum教授を招いて話を聞いた。向井は別のアプローチから、永田のヒルベルト第5問題への反例を量子論的に解釈し、さらに多くの例を得ることに成功している。藤原は、ラングランズ予想に関わる諸理論を見直して、どのような基礎理論が必要になるのかを探求し、さらに一般の代数幾何理論の構築を京都大学の加藤文元氏とともに企てている。これはGrothendieckの概型論を大きく超えるもので、次年度以降の展開が期待されている。林は、従来から行われているホップ代数の立場からの表現論の研究を押し進める中で、本課題との関連を探っている。
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