ヤブロンスキー多項式については、その最低次の項の係数の明示的な公式を与え、また一般の係数をその最低次係数で割ったものが多項式のインデックスに関して多項式関数であることを示した。更に多項式を素数で還元した時の周期的な様子を明らかにした。 当初の目論見ではこの結果を元にソリトン方程式の特殊解について調べる予定であったが、今のところ確定的な結果を得ていない。しかしながら、ある種のモジュラー形式に付随する線形の微分方程式の解と関連する多項式の系列を新たに発見した。それは、上半平面での二階の微分方程式で、解空間がモジュラー群の重さkの作用で不変であるものである。kを決めたとき、係数にある正則性の条件を課せば、このような方程式は一意的に定まる。そこで、様々なkの値についてその解を調べることが問題になるが、これまで調べられた、kが整数や半整数の場合と異なり、kを5分の整数としてやると、これまでの古典的なガウスの超幾何多項式では書けない多項式の系列が出てくる。数値実験をして、この多項式がレベル5の楕円曲線の超特異性と密接に関係していることを発見した。また、この多項式の素数を法としたときの既約分解の型に二次体の類数が関係しているらしいことも数値実験で確かめた。証明をつけるには至っていない。この微分方程式の3階の一般化は最早一意的ではないと思われるが、一つの特徴的な型の一般化について、やはり解を記述するような多項式の系列、今度は4項漸化式を満たすもの、を構成することができた。これの数論的な性質の解明が当面の課題である。
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