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2004 年度 実績報告書

端的ケーラー計量への力学系的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 14654012
研究機関名古屋大学

研究代表者

小林 亮一  名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20162034)

キーワードChow / Mumford安定性 / スカラー曲率 / 端的ケーラー計量 / 小林 / Hitchin対応 / モンジュアンペール方程式
研究概要

端的ケーラー計量の最も重要なものはスカラー曲率が一定のケーラー計量である.与えられたケーラー類にスカラー曲率一定のケーラー計量が存在するための必要十分条件は何だろうか?この問いは微分幾何の問いであるが,これが幾何学的不変式論におけるChow-Mumford安定性と同値であろう,という予想が,小林昭七とN.Hitchinによって提唱された小林/Hitchin予想である.複素幾何学の中心的な問題のみならず,多くの分野が関連し,多くの関連問題を生む力を持つ.本研究ではこの予想に力学系的な方法での挑戦を試みた.与えられた偏極に住む定スカラー曲率ケーラー計量が固定点になるような力学系を構成できた.(L, h)を射影的代数多様体X上のHermite計量hつきの偏極とし,hの曲率形式はケーラー形式とする.このケーラー形式に関するトレースが定数になるような(1,1)形式がc_1(X)に一意的に存在する.それをリッチ形式に持つような体積形式をV(h)とし,V(h)を体積形式に持つような正の偏極を(L, h')とする.LのHermite計量hに新しいHermite計量h'を対応させることにより,Lの正曲率Hermite計量の空間上の力学系が構成させる.この力学系の特徴はラプラス方程式とモンジュアンペール方程式を解くという積分操作で構成される点である.したがってこの力学系はリッチ流のように偏極のエネルギーレベルを下げる働きをすると考えられる.また,もしhの曲率形式がスカラー曲率一定のケーラー計量ならhはこの力学系の固定点である.もしこのアプローチが働くなら,解析的な困難は一般の偏極での反標準偏極でも本質的には同じである.反標準偏極の場合,この力学系はリッチ流の離散化になっている.そこでChow/Mumford安定性のもと,この力学系がChowノルムが大きいときにどのような振舞をするかを調べた.Chowノルムが大きいとき,安定性はリッチ曲率の集中があまりに強くなれないことを保証する.この設定で力学系を1ステップ走らせるとリッチ曲率の集中度はある意味で弱まることが示せる.また,実カテゴリーでの実験ではあるが,ベルジェ崩壊球面では,上で導入した力学系はリッチ流の軌道上をリッチ流と同じ向きに走り,標準球面に収束することが確認できた.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2005 2003 2002 2001 その他

すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 対数微分の補題から見たNevanlinna理論2005

    • 著者名/発表者名
      小林亮一
    • 雑誌名

      Surveys in Geometry, Special Ed. (掲載予定)

      ページ: 31

  • [雑誌論文] An attempt toward Diophantine analogue of ramification counting in Nevanlinna theory ・Truncated counting function in Schmidt Subspace Theorem2005

    • 著者名/発表者名
      Ryoichi Kobayashi
    • 雑誌名

      京大数理研講究録「代数的整数論とその周辺」 (掲載予定)

      ページ: 40

  • [雑誌論文] Lemma on logarithmic derivative for the Gauss map of algebraic minimal surfaces2005

    • 著者名/発表者名
      Yu Kawakami, Ryoichi Kobayashi, Reikio Miyaoka
    • 雑誌名

      Proc.COE conference "Geometry and Viisualization" (掲載予定)

      ページ: 17

  • [雑誌論文] Toward Nevanlinna teory as a geometric model for Diophantine Approximation2003

    • 著者名/発表者名
      Ryoichi Kobayashi
    • 雑誌名

      Amer.Math.Soc.Suugaku Exp. 16

      ページ: 39-79

  • [雑誌論文] Second Main Conjecture as a variant of the Weitzenboeck formula2002

    • 著者名/発表者名
      Ryoichi Kobayashi
    • 雑誌名

      Lect.Notes in Math.Osaka Univ. 7

      ページ: 109-149

  • [雑誌論文] Meromorphically parameter dependent integral geometry and Lemma on logarithmic derivative in Nmevanlinna/Diophanton caleulus2001

    • 著者名/発表者名
      Ryoichi Kobayashi
    • 雑誌名

      Proc.Conf.Geometry, Ibaraki Univ.

      ページ: 301-342

  • [図書] Ricci-Flat Kaehler計量の幾何学と解析学

    • 著者名/発表者名
      小林亮一
    • 総ページ数
      400
    • 出版者
      培風館(出版予定)

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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