研究実績の概要は以下のとおり. 昨年度からの中国・韓国両国との交流により、中国科学院のPan教授、韓国高麗大学のWoo教授らと日本・中国・韓国の3国による共同研究の構想が具体化し、本年度は中国科学院において本研究に関連する研究集会が催され、日本側の代表として講演者の推薦、取りまとめを行い、さらに会議には座長として参加し、本研究に関する意見交換を行った。ここで特に福岡大学の小田教授とFuchsによるアーベル群の有理部分と簡約部分への分解定理のホモトピー圏への拡張を定式化し、これの証明を与えた。さらにこの定理の圏論的双対についても議論を行ったが、Gottlieb集合の定義が安全な双対性を保証するには不十分であるように現時点では考えられる。 その一方で、大阪市立大学の入江教授とcoホップ空間に関するGanea予想のp局所版の証明にいたる着想を得た。この着想を具体化するために、連合王国Aberdeen大学のTopology CenterにHubbuck教授を訪ね、これにより、p局所ホモトピー圏が、高い双対性を保持する可能性についての意見交換を行った。この証明の主たるアイデアはやはりnear ringについてのWedderburn-Artinの定理とK-理論についてのBassの定理であり、p完備ホモトピー圏における証明が、ほぼそのままの形で再現されることになる。これについては、論文の投稿を準備中である。同時にAberdeen大学を訪問していた米国シカゴ大学のGrey教授やスイスLosannes大学のCostoya教授ともp局所ホモトピー圏の自己双対性についての議論を行い、特にZabrodskyによるHopf空間のMixing homotopy typesの理論の双対について論じ、単連結を仮定せずにこれが成立することの証明にいたる着想を得、これについても現在、投稿論文を作成中である。
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