研究課題
本年度は、研究課題「微分幾何学の情報幾何・生命情報科学への展開」の一年目として以下のような有意義な研究活動が行なわれた。研究代表者・大仁田は、2002年10月3日から5日まで東京都立大学において小研究会を組織した。そこでは、次のような研究活動が行なわれた。研究分担者・松添は、情報幾何の基礎理論について議論した。甘利俊一教授とともに情報幾何の創始者である長岡浩司氏(電気通信大学)を招聘し、量子情報幾何学の最新の理論についての解説の2回の講演をお願いした。情報幾何の若手研究者の豊泉太郎氏(東大新領域)を招聘し、アルファ-ダイバージェンスに基づく平均場近似の最近の研究に関して情報提供をお願いした。研究分担者・田中は、有力な近似的計算法として大変注目を集めている確率伝搬の枠組みが情報幾何的な解釈が与えられることを研究報告した。研究分担者・黒瀬は、古典情報幾何のアファイン微分幾何的解釈や統計多様体に関連したスペシャル・ケーラー多様体構造について議論した。また、京都大理・加藤毅氏を招聘し、DNA配位空間における相互作用の代数的構造に関する最近の研究の解説をお願いした。研究分担者・ソリンは、情報幾何やバイオインフォマティクスの研究への応用を見据えて、確立分布の空間に現れるフィンスラー幾何構造に関して議論した。松添、黒瀬は、甘利教授と共同で、微分幾何学の立場からBayes統計学を見直し、等積構造の研究において良く知られているTchebychevベクトル場とBayes統計に現れる推定量との関係を研究し、部分多様体論の観点から興味深い結果を得ている。ソリンと松添は、情報幾何とバイオインフォマティクスに関わる数理に関して活発な研究セミナーを継続しており、今後の共同研究への発展が期待される。
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