研究概要 |
平成14年度の研究成果を踏襲し、強パーフェクトグラフ予想を肯定的に解決するための代数的技巧を開拓する研究を続けた。有限グラフGおよび、その補グラフが長さ5以上の奇サイクルを誘導部分グラフとして含まないならば、任意の逆辞書式順序Lについてin_L(I_G)がsquarefreeであることを示すことが課題であった。そのための準備として(1)トーリックイデアルI_Gの任意のサーキットがsquarefreeとなるための必要十分条件を探すことを試みた。サーキットに関連し、indispensable binomialなる概念を被約グレブナー基底との相互関係から詳しく調べた。その結果、有限グラフに正規という条件を付けるとindispensable binomialの状況が良く解ることが判明した。(2)I_Gによる剰余環が整閉整域となるためのGに関する組合せ論的必要十分条件を求めた。他方、その剰余環が整閉整域とは限らないときに、その整閉包を具体的に記述することができた。以上の考察をより一般な状況で遂行するために、頂点集合{1,2,---,n}上の単体的複体Δがあったとき、Δの面Fにδ(F)=Σ__<iεV(F)>Ciを対応させIR^nにおける有限集合{δ(F)|FεΔ}の凸閉包として得られる(0,1)-凸多面体のトーリックイデアルを考え、そのトーリックイデアルの極小自由分解に現れるベッチ数列をΔの組合せ論で表示すること、等々を平成16年度に実施する。なお、平成15年度の研究成果は平成16年6月にBostonで開催される代数的組合せ論の国際研究集会で発表する予定である。
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