研究概要 |
有限グラフGがパーフェクトグラフであるとはGの任意の誘導部分グラフHについてその彩色数とHに含まれる完全グラフの最大位数が一致するときに言う.当該萌芽研究においては,有限グラフに自然な方法でトーリックイデアルを付随させ,そのイニシャルイデアルの代数と幾何を駆使することで強パーフェクトグラフ予想「有限グラフG及びその補グラフが長さが5以上の奇サイクルを誘導部分グラフとして含まないならばGはパーフェクトグラフである」の肯定的な解決に挑戦.した.平成16年度は,15年度の研究成果を踏襲し,強パーフェクトグラフ予想を肯定的に解決するための代数的技巧の開拓を継続した.当該萌芽研究の結論とし,有限グラフGとその補グラフが長さが5以上の奇サイクルを誘導部分グラフとして含まないと仮定したとき,トーリックイデアルI_{G}のイニシャルイデアルについて,どのようなことが言えるか,を統括的に議論した.具体的には,任意の逆辞書式順序<について,イニシャルイデアルin_{<}(I_{G})がsquarefreeである,という作業仮説を証明することが目標であった.その目標に到達するための準備として,(1)有限グラフに正規性条件を課したとき,任意の逆辞書式順序<についてin_{<}(I_{G})がsquarefreeとなる,を証明することに成功した.次に,(2) I_{G}による剰余環の次数付極小自由分解の構造を解明し,そのベッチ数列を計算することを試みた.後者の課題は,平成17年度に新規で申請する萌芽研究の基礎となった.
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