研究課題/領域番号 |
14654024
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
横山 和弘 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (30333454)
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研究分担者 |
吉川 敦 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (80001866)
鈴木 昌和 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20112302)
中尾 充弘 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (10136418)
穴井 宏和 富士通研究所, 研究員
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キーワード | 記号・代数計算 / 代数制約解法 / Groebner基底 / 不等式制約 / 限定子除去法 / 多項式イデアル分解 / 最適化問題 / 数値数式融合計算 |
研究概要 |
本研究の中心課題として、最適化問題に対する新しいアプローチとして、記号・代数計算を用いた正確に解く方法を確立することを設定し、そのために、(1)ベースとなる記号・代数計算理論・技術の進展と(2)成功事例の発掘のための問題設定とそれに対する問題の特殊性を生かした解法の開発を行った。 (1)においては、基礎理論として、限定子除去法、パラメータ付の多項式イデアルの操作、多項式イデアル操作の3段階に分けることができる。最下層の多項式イデアルの操作として、正標数の場合の分解アルゴリズムの開発とその部品としての多項式の因数分解の効率化を行った。また、その計算機での実装実験を行いその有効性を検証した。次のレベルにある、パラメータを含む多項式イデアルの操作に関しては、海外共同研究者Weispfenning教授を招き、パラメータを含むイデアル構造を決定するcomprehensive Groebner basisに関して議論を行い、共同研究を開始した。ここでは、実際の工学等への応用を目的として、入力に誤差を許すことを微小量パラメータとして考え、comprehensive Groebner basisの特殊化として扱う方法を検討している。 (2)においては、研究分担者の穴井と定期的にセミナーを設け、実際の制御計算へ、限定子除去法を適用するる手法を検討している。穴井は原教授(東京大学)と共同で、制御問題の適用事例を研究し、いくつかの成功事例の発掘に成功した。この検討を通じ、穴井との共同研究として、従来の正確な算術計算に基づく記号・代数処理アルゴリズムに近似計算を導入し、効率性を高める数値・数式融合計算法の開発に着手した。特に数値・数式の融合に関し、数値計算と記号計算のジョイントセミナーを開催するなど、その抜本的な融合法についての検討を開始した。 さらに、記号・代数計算法を定理自動証明に応用するために、分担者の鈴木と共同で、定理自動証明システムを開発しているRISC-LinzのBuchberger教授と中川研究員を招待し、討論を行った。証明法の理論だけでなく、実際の工学等への応用へのアウトプットの重要性も今後の課題となろう。
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