半導体ミスフィット転位網が作る量子孔ネットワークの研究にあたり、特に本年度は正方状ネットワーク型交差ミスフィット転位を有するGaSb/GaAs(001)系に関して考察を行った。まず第一原理計算によって導かれた[110]、および[1-10]方向に発生した転位線の転位芯構造を用いて、経験的原子間ポテンシャルを用いた力場計算により歪み緩和機構を解析した。その結果、ミスフィット転位が挿入されることによって、転位垂直方向に大きく歪みを緩和する働きがあることがわかり、2種の転位が垂直に交わることが計算によって示され、実験事実の裏付けとなった。さらに熱力学的アプローチおよび強結合近似による電子論から、転位線が交差することによって歪みエネルギーが最小となり、交差転位芯が安定に存在することを見いだした。
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