研究概要 |
本研究の目的は,(1)地下温度を用いた気候変動復元における「地表面温度」と「気温」との差を明らかにすることと、(2)従来、地殻熱流量推定などの目的で測定された、地球深部の地下温度データーを気候変動復元のためのデータとして活用することである。本研究では、東京・大阪・熊本など、これまでに浅層地下水温の詳細調査が行われた地域に、新たに京都・静岡を対象地域加え、地表面・土壌温度の連続測定を行った。また、過去に連続測定された地表面・浅層地温と、地下水温分布から推定された気候変動(地表面温度変動)を比較することにより、推定される「地表面温度」と「気温」との差を明らかにした。解析の結果、地下温度から推定した地表面温度変動と気温との差には、緯度依存性、降水量依存性があることが明らかになった。また12地域において、深層温度データと浅層地下水温分布を組み合わせることにより、より精度良く地域地温勾配を決定することができ、これを用いて気候変動復元を試みることにより,大気-陸面-地球深部の連続系における「気候変動を含めた地球熱学」の手がかりを得ることができた。
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