研究概要 |
平成14年度は以下のこを明らかにした. 1.超高温変成岩に普遍的に見いだされる斜方輝石とサフィリンの間のFeとMgの交換反応の温度依存性を7キロバールから16キロバールの圧力範囲で,850℃から1300℃の温度範囲で調べ,これを定量化した.この反応が地質温度計として有効であることを示した.この温度計により,東南極リュッツホルム岩体ルンドボークスヘッタに産する菫青石・サフィリン・グラニュライトの最高変成温度が1000℃を超えることを明らかにした. 2.東南極エンダビーランド・マッキンタイヤ島に産するグラニュライトの最高変成温度を高温高圧力下での相平衡実験を行うことにより11キロバールの圧力条件で1000℃から1050℃であることを特定した. 3.マグネシウムとアルミニウムに富む超高温変成岩類を構成する鉱物間の相平衡関係を特定するためにザクロ石(X_<Mg>=0:75)の安定領域を高温高圧力下で決定した.この組成の系は圧力低下に伴って,鉱物組成がザクロ石→ザクロ石+斜方輝石+サフィリン+石英→斜方輝石+サフィリン+石英と変化することを明らかにした.また,温度低下に伴い,斜方輝石+サフィリン+石英→斜方輝石+サフィリン+珪線石+石英と変化することを明らかにし,また,ザクロ石-斜方輝石間のFe-Mg分配を再検証した. 以上の研究実績に加え,第44次南極地域観測隊に参加し,プリシスオラフ海岸地域やリュッツホルム湾沿岸地域各地の泥質岩起源の変成岩類をサンプリングした.
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