研究概要 |
共鳴条件下でX線ラマン散乱スペクトルのバンド幅が自然幅より狭くなることを利用し、新しい選択的X線吸収分光法を開発することを本研究の目的とし、種々の遷移金属元素およびその化合物についてX線ラマン散乱スペクトルの狭帯域化の観測を行うとともにこの現象を利用した選択的局所構造決定法の応用を探る。 今年度は、Spring-8のR&D用ビームラインから供給される1eV程度のバンド幅のX線を、0.2eV程度まで単色化して励起光とするための分光器を製作した。この分光器は、掃引によって入射光と出射光の光路が変わらないよう2対、4対の分光結晶からなるものである。 この分光器を用いて、共鳴条件下でX線ラマン散乱のバンド幅が狭くなる現象は銅について観測されたが、それが普遍的に見られるものかどうか、Fe, Ni等他の元素についての調査を行った。 今後はこの現象を利用したvalance selective XAFS分光の可能性、応用性についても検討したい。
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