研究概要 |
平成14年度の本科研費でSi(311)湾曲結晶を購入し、X線発光あるいは非弾性(ラマン)散乱の測定可能範囲を拡げると共にそれを第三世代放射光施設である西播磨研究学園都市のSPring-8に持ち込み、BL37,BL49,BL47等のビームラインにおいて以下の実験を行った。その結果はすべて印刷済ないし投稿中である。 1.X線共鳴ラマンスペクトルから寿命幅に制限されない高分解能XANES(X-ray Absorption Near Edge Structure)スペクトルを得ることができることを酸化銅他いくつかの銅化合物について示した。 2.X線共鳴ラマンスペクトルから異なるスピン状態にあるMn原子のXANESが得られることをMnOについて示した。また,Mn2O3,MnO2,KMnO4など酸化数の異なるマンガン化合物についても測定を行い,それぞれから特徴あるスペクトルを得、また励起エネルギー、散乱エネルギーの双方をパラメータとした二次元等高線図を作成した。その意味するところについては現在検討中である。 3.超伝導物質であるNd2-xCexCuO4およびその母物質であるNd2CuO4についてX線非弾性散乱スペクトルを測定し、それから高分解能XANESスペクトルを得、電子状態について考察を行った。 4.以上はすべて第一周期の遷移金属元素の1s→2p遷移に伴う発光についてであったが、希土類元素2p→3d遷移についても同様の手法が適用できることをDy(NO_3)_3について示した。
|