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2003 年度 実績報告書

キラル分子を用いたパリティ対称性破れの検証実験

研究課題

研究課題/領域番号 14654102
研究機関東京工業大学

研究代表者

金森 英人  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00204545)

研究分担者 小林 かおり  東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 日本学術振興会特別研究員
キーワードキラル分子 / パリティ非保存性 / 超微細相互作用 / 超高分解能分光 / 冷却分子
研究概要

S_2Cl_2分子はC2対称の平衡構造を持つキラル分子であり、二つの光学異性体間に5000cm^<-1>程度のポテンシャル障壁が存在している。この結果、トンネル効果が非常に小さいので、分子を用いたパリティ非保存の検証に用いることができると注目した。昨年度はこの分子について、回転スペクトルを測定したが、その解析が困難であったことを受けて、今年度はセンチ波、ミリ波、広い領域で解析に必要となるデータの再精密測定を行った。その結果、この分子のスペクトルを説明するためには、核スピンによる超微細相互作用のうち、塩素核(I=3/2)の四重極相互作用の非対角項が必要であることがわかった。この項は、オルトとパラ状態の間での相互作用となるので、結果的に二つの状態が混合したものが定常状態ということになる。
その混合比は回転状態によって異なるが、最大1%にも及ぶことが解析から判明した。このことは、一般的に考えられているオルトとパラは別分子であるという概念を覆すもので、非常にインパクトの大きな結果である。
また、このS_2Cl_2分子に対する精密高分解能分光測定によって超微細相互作用による僅かなエネルギー分裂も分解できたので、当初の目的であった観測スペクトルを単一量子準位間の遷移として決定することができた。このことは分子のエネルギー準位構造を正確に知る上で重要であり、二重共鳴分光におけるスペクトルに対して生ずる僅かなパリティ分裂との混乱を無くす上で必要不可欠な作業を達成することができた。

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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