研究課題/領域番号 |
14654107
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
山田 亮 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20343741)
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研究分担者 |
夛田 博一 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (40216974)
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キーワード | 極低温STM / 強磁場STM / スピン偏極STM / フタロシアニン / エピタキシャル成長 / 電子状態 / 超高真空 / 稠密パッキング |
研究概要 |
金(111)面をマイカ上にエピタキシャルし、それを基板として、超高真空中でコバルトフタロシアニンを蒸着した。78Kの低温STMの観察により、コバルトフタロシアニンは、ベンゼン環が、基板の[1-10]軸方向に配向し、3層目まで正方格子を組んでエピタキシャル成長していることが確認された。1層目の分子は基板に平行に配向しているが、2層目、3層目の分子は僅かに傾いていることが示唆された。正方格子の1辺は、1.4nmであり、分子は、歯車が噛み合うようにパッキングしている。分子はベンゼン環方向に僅かにシフトしてスタッキングしている。1層目の分子は、バイアス依存性もなく、分子内微細構造が明瞭ではないが、2層目、3層目の分子は、微細構造が確認され、バイアス依存性も観察された。これは、1層目では基板の影響により、軌道が広がったのに対し、2層目、3層目では、分子軌道が明瞭に観察されたためと思われる。 銅(100)単結晶清浄面にコバルトフタロシアニンを単分子相当量蒸着し、4Kの極低温で、dI/dV観察を行った。HOMO-LUMOギャップ内に、Local Density of Statesが観察された。金属上のC60膜でも同様のstateは観察されており、基板との相互作用により現れたものと考えられる。中心金属上あるいはベンゼン環上では異なったdI/dV特性を与えた。今後は、スピン偏極探針を用いて、測定を行うことにより、分子のスピン状態に関する知見を得ることを目指す。
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