研究概要 |
我々は非常に短時間で目的とするフラーレンレセプターを探索する方法として、コンビナトリアル化学を基盤としなフラーレンレセプターの探索法を本申請で提案した。 平成15年度は主に前年度に開発したフェナントロリンを基盤とする自己集合コンビナトリアルライブラリーの動的挙動について検討を行った。フェナントロリンを有するサブユニットを銀イオンにより自己集合させた錯体について、^1H NMRを用いて検討したところ、この錯体の二量化の会合定数は非常に大きいことが分かった。さらに、2種類の錯体を混合するとそれぞれのサブユニットを交換することにより生じるヘテロダイマー型の錯体の生成が確認された。それぞれが^1H NMRで独立に観測されていることから,これらの錯体の配位子の交換速度はNMRの時間スケールより十分遅いことが分かった。この動的ライブラリーにC_<60>を添加したところ、ゲスト分子の鋳型効果による特定の化学種の増幅効果が観測された。複数の化学種が混在するこのライブラリーでC_<60>の包接による特定の化学種の増幅効果が見られたことは,目的の機能を持つレセプターの検出を容易にすることから,非常に興味深いことである。 今後、より規模の大きな動的ライブラリーを用いてC_<60>だけでなく,C_<70>や高次フラーレンを包接するホスト分子の探索を行って行きたいと考えている。
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