研究概要 |
本研究は、チップ型触媒とマイクロエレクトロマシンシステム(MEMS)を一体化した集積型インテリジェント触媒-マイクロエレクトロメカノキャタリスト(MEMC)を創製することを最終の目的としており,そのプロトタイプを作製して,インテリジェント触媒としての可能性探求を行う。こうしたMEMCは、現実に存在せず,さまざまな試行錯誤が必要である。申請者らはこれまでに、Si基板上に、リソグラフィー法でその表面を微細加工したチップ型VSbO4-Sb2O4触媒を作製し,活性の向上を見出した.これは、2つの結晶相が、吸着種の拡散を通じて相互作用するため、2つの相の距離や配列の仕方を調整することで,触媒作用を制御できるためであると考えられる。このチップ型触媒を、近年急速に進歩しているマイクロエレクトロマシンシステム技術と融合させることが可能である。すなわち、マイクロエレクトロマシンシステム技術を使い、nm-μm領域の触媒反応を能動的に制御できるマイクロエレクトロメカノキャタリスト(MEMC)へと発展させられるものと期待される。しかしながら、この微細加工構造の歩留まりがひくく、良質なものを大量に得ることが難しいことがわかった。そこで、本年度は、作成条件を再検討し、ほぼ確実にチップ型触媒の作製できるよう再検討を加えた。すなわち、電子線露光時間、レジスト厚、前処理温度、蒸着温度を再検討し、100度の蒸着温度がもっとも再現性よくチップ型触媒を生成できることを見いだした。また、このチップ型触媒の表面状態を検討するため、EXPEEMを開発し、その表面イメージング測定にも成功した。
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